在り方を教えてくれたのは…

景色も風も、いつの間にか秋の顔をしてるね。

自然はカレンダーなんか見なくても、もう9月も後半に入ってる事を知ってるみたいだ。

 

 

以前、別の仕事をしている時は、いつも時間に追われてたなぁ…。

 

ある時期は睡眠時間3時間なんていう生活が続いてたんだ。

その時は食事の時間もろくに取れなくて、体重が10キロくらい減っちゃった。

 

そんなだから、知らないおじいちゃんがいきなり僕の腕を掴んで、

「大丈夫か?ちゃんとご飯たべてるか?」

って心配してくれた事もあったっけ。

 

確かに頬もこけて、ゲッソリしてたからね。

あの頃は、季節の移り変わりも何も覚えてない。

ただただ時間が流れるように過ぎて行くだけの日々…。

 

空を見上げる事も無ければ、花がさいてる事にも気付かないような、そういう生活が何年も続いていたんだ。

 

そんな日々は、心も身体もボロボロにする。

だから僕は思い切って生き方を変えた。

 

そうしたら、今まで全然目に入らなかったもの達が突然見え始めたんだ。

まるで僕に一斉に話しかけてくるみたいに…。

 

 

それらは実際には言葉なんて発していないんだけど、その美しい姿で僕に語りかけてくる。

きっと今までも同じように僕を呼び止めてくれていたのかも知れないね。

 

ただ、あの頃の僕に、その声が届くことは無かったんだ。

その姿も、まるでそこには存在していなかったかのよう。

僕の記憶には残っていない。

 

 

景観の美しい観光地などに行かなくても、身の回りにある何気ない植物達が、こんなにも美しく、こんなにも優しかった事を僕は今年、改めて知る事になった。

 

小1の時だったかな、授業で朝顔を育てた事があった。

 

でもその時は、芽が出ても、花が咲いても、特別に何かを感じる事も無かったなぁ。

人に何かをやらされるとか、集団で一斉に何かをやるって事が大嫌いだったからかな。

 

今年はね、なぜだか突然、種から花を咲かせたいなって思ったの。

 

 

開き始めの向日葵が、恥じらうように顔を隠しながら咲いて行く姿に感動したり…。

 

風に飛ばされて無くなっちゃいそうな、頼りない種から、色とりどりの鮮やかな花が次々と咲く姿が嬉しかったり…。

 

そしてその姿は、見るたびに違うんだ。

不思議な事にね、僕の気持ちがちょっと落ちてる時には特に、新しい花をパッと咲かせてくれたりする。

 

そんな姿から元気を貰ったり、優しく励まされた事が何度もあったな…。

まるで心の中を読まれてるみたいだね。

 

 

花が咲いてる時間って、人の一生に比べたら、本当に短い。

その短い時間に精一杯美しく咲いて、僕たちに優しく語りかけてくれるんだ。

そしてあんなに夢のような光景を見せてくれていた庭の花達は今、ほとんど姿を消して土に帰る準備をしている。

 

ただそこで咲いてくれているだけで、この夏、僕の心には大きな安らぎがあった。

たった一人で過ごす時間が長い僕に、笑顔や優しさを届けてくれたんだ。

 

花達がくれた無償の愛に、人はどうやって応えればいいんだろうね。

 

僕が花達に出来る事って、何も無い。

ずっとずっと永遠に咲かせてあげることも出来ない。

それでも花は、何の見返りも求めずに、そこで咲いて散っていくんだ。

 

人の心も本来そうあるべきなんだろうね。

 

人間界で時々聞こえてくる言葉

「あれだけやってあげたのに、何もしてくれない…。」

「せっかくやってあげたのに…。」

そうやって人間関係まで断ち切ってしまう人もいるのは悲しいよね。

思ったような反応が返って来ない事が不満なんだろうけどね。

 

 

人には感情があるから、なかなか難しい事なのかもしれないけど、

「花のような人」・・・で在りたいね。🍀