雨をえがく、その心の中は…

雨降りの日 外を歩いている時 僕の心の中にはいつも 懐かしい風景がよみがえってくるんだ

 

 

まだ幼稚園にも行ってない幼い頃

お母さんに連れられて 雨降りの日の買い物について行く小さな僕

 

足元は 小さな小さな黄色い長靴

お気に入りの可愛いリスの絵がついた黄色い傘をさして…

 

 

今も雨降りの日に家に居て雨音を聞いたりしてるのは好きだけど
いつの頃からかな…外に出る時は 濡れるのが嫌だなぁとか 傘を持つのが面倒だなぁとか 

そんな気持ちになっちゃうことが多くなっちゃったな…

 

でもね あの頃は雨降りの外出は なんか特別な感じがして大好きだったんだ

今よりも車の往来も少なくてね 

雨のせいかいつもより人通りの少ない道を駅前のお店までゆっくりと歩いていくんだ

 

水たまりがあると 臆病な僕はそ~っと黄色い長靴の足を踏み入れてみて
深さが無い事を確認してから水が跳ねないように静かにその中を歩いてみる

傘に当たってリズミカルにパラパラっと鳴る雨音はとても心地よくてね

 

 

いつもは白っぽく乾燥してる灰色のアスファルトが この日ばかりは艶のあるちょっとお洒落でダークな色にお化粧してる

時折 静かに「シャ~ッ」って波のような音を立てて車が通り過ぎるんだ

 

これもいつもは聞こえない音…

 

道の途中にある家々の庭の木や葉っぱも 雨の日はいつもより緑の色が鮮やかで艶々してる

 

 

滴るしずくが小さなビー玉のようにこぼれ落ちて…

同じ道を歩いてるのに そこは晴れた日の買い物の道とは全く違う世界

 

優しい… 全てが優しい

目に見えるもの 聞こえてくる音 

 

 

そんな雨の日の買い物の道が 僕は大好きだったんだ

 

調子に乗って傘をくるくる回したりすると 怒られたけど

あの頃はまだ お母さんも優しかった

 

とは言っても 本当はそれほど優しくしてもらった記憶は無い

 

抱っこしてくれたり 優しく頭を撫ででくれる なんてことはなかったから…

でも 叩いたり怒鳴ったりするようなことはまだ無かったあの頃

とても短かったけど 僕にとっては お母さんと過ごした穏やかで 柔らかで とっても優しい時間…

 

あの雨降りの買い物の風景を 僕は生涯忘れる事は無いだろう…

 

 

今までに雨のシーンをえがいた作品がいくつかあるけど その記憶があったからなのかな

僕が雨をえがいた絵は 優しい時間や楽しい時間が流れる場面ばかり

家を出る前は濡れるのが嫌だなぁとか思ってても 

一旦外へ出て傘に当たる雨音を聞いてるうちに なぜだかいつの間にか心が穏やかになってる自分に気付く

 

 

僕にとって「雨」は鬱陶しいとか憂鬱とか そいうのじゃなくて むしろホッとする…というのかな
心落ち着くイメージなんだろうな…

 

 

今日は朝からず~っと雨

日中に買い物に出た時も 傘を打つ雨音に小さな頃の僕の記憶が蘇ってくる

 

あの頃と違うのは 見下ろす地面が遠くなったこと

 

そして 当たり前なんだけど 今ではたった一人でも買い物に行けるようになったこと

 

 

僕の前をゆっくりと歩く 優しかった頃のお母さんの姿はもう見えない

その姿は 僕の記憶の彼方に行ってしまったこと…

 

 

僕が覚えているあの雨降りの風景

あの数年後から僕は二度と あんな穏やかな時間を感じることがないまま大人になったんだ

 

 

きっと今でも 僕の心の片隅は成長する事が出来ずに あの時間をさまよったままなのかも知れない 

 

 

そんな僕に 二度と戻らない時間を 心の中にだけ呼び戻してくれる優しい雨

小さな子供になって 小さな小さな黄色い長靴をはいて あの雨の日の買い物の時間に戻る事は出来ないのかな…

雨降りの日は ついそんな事を考えちゃう…

優しい雨の降る絵を また1枚描いてみようかな…🍀

 

 

=地球に 人に 優しいアートを=

僕らを育んでくれるこの星とあらゆる命への敬意、

そして魂の居場所である肉体に感謝を込めて…

       早川 希

=スターシードが創り描く☆地球に人に優しいアート= noZomi hayakawa(陽日希)2024秋の個展『自灯明』

スターシードが創り描く
地球に人に優しいアート
noZomi hayakawa(陽日希)
 2024.秋の個展

 
  『自灯明』

2024/11.25(月)-12.01(日)
   11:00ー19:00
(最終日は17:00閉館)

  ギャラリー元町
    ・・・
誰もが心の奥に持つ、内なる光。
それは自身の信念や志、願い、そして大切な想い...
誰かが照らしてくれる灯火を頼りに生きても、
果たしてそれが、自分の人生なのだろうか。
たとえ、今は小さな灯りだとしても、
僕は、内なる光である自分自身を拠り所として生きていく。
       noZomi hayakawa(陽日希)