個展のプライスカード、「良い趣味持ってるね」って二度と言われない為にも

「何となくイヤだなぁ…」

「別にいいんじゃない?」

「あまり良い感じしないよね…」

「そんなもんでしょう…」

 

どう感じるかは人それぞれで 僕がそれをどうこうできるわけじゃないんだけど…

やっぱりどこかで遠慮というか 尻込みする気持ちがあって出来なかった事を僕はこれからやろうと思ってる

 

それはね 今度の個展から 展示する絵に「プライスカード」を付ける事

何の先入観も無しに ただ真っ直ぐ絵を楽しんでもらいたいっていう気持ちが強くて 今まではプライスカードを付ける事はしてこなかった

僕自身 まだ絵を仕事にしようと考えてもいなかった頃は 百貨店とかで開催されてる展示会にたまたま立ち寄ったりした時なんかに とても素敵な絵に題名と共に価格が表示されているのを見ると あまり良い気持ちがしなかったという経験もあるから…

それと同時に 売り込み感を出すことによって「嫌われるんじゃないか」という臆病な自分も居たから 実はこれが一番の理由だったようにも感じてる

 

 

でも 何年かこうして絵を描いていくうちに 少しずつ考え方が変わってきたんだ

そんなに臆病になる事 人の顔色を伺いながらやっている事 そんな状態は何かおかしいんじゃないのかなって…

 

作品は堂々と自信を持って展示しているはずなのに 何をそんなに小さくなってしまうんだろう

自分が生きて行く為の大切な仕事なのに コソコソ遠慮しなきゃならないなんて どう考えても変だよねって

 

 

それともう一つ…

絵を始める以前の僕を知っている人の中には 個展に来てくれても なぜか僕が単なる趣味で展示してるって思うのか

「良い趣味持ってるね~。退屈しなくていいでしょう?」

「趣味でやるのにはいいよね~」

などと 僕のはらわたが煮えくり返りそうな言葉をわざわざ贈って下さる人もちらほら…(^^;;

 

僕は暇つぶしの為に絵を描いてるわけじゃないのに…

必死さも本気度も伝わってなかったから こんな風に言われてしまうんだろうね

 

 

確かに絵で生計を立てて行くって難しい

僕もかなり崖っぷちの状態(- -;

だから本当は必死だし本気だよ

 

でも絵というものは暮らしの中で絶対に必要なものでは無くて CDのようにメロディーを奏でてくれるわけでも無いからiPhoneに転送して移動中に楽しむ…なんて事も出来ない

絵の所有者は ひとたび部屋に飾ってしまえば 洋服のようにそれを着て出掛けるなんて事も出来ないから 友達から「素敵ね~」って絵を褒めてもらえる事も無い

お気に入りの道具のように 味わいがでてくるまで日々の生活で使い倒していく…何ていう事とも無縁だよね

 

「絵」はひっそりと だけど大きな存在感を持ってその空間の中で 所有者の傍らで生き続けるもの…

 

そして 消耗品では無いから よほどのコレクターではない限り一度買えば何度も新しいものを買い求める事って めったに無いんだ

その性質上 飛ぶように売れるなんて事も無い

だからやっぱり 画家にとってそれなりの価格設定になる

絵というものが 単なる1枚の紙って思ってる人にはその価格に疑問を持つ人もいるかもしれないけど

ただ言えるのは 印刷物ではない絵の原画って「唯一無二」

正に目の前にある それそのもしか存在しないっていうこと

 

だからこそ 一部の愛好家から見れば とても価値のあるものになるんだ

(それがとても良い作品である ということが絶対条件だけど)

絵の価格が高いという印象ってあるけど 唯一無二であって消耗品では無いという観点からしてみれば 一旦手にすれば一生ものっていう事なんだよね

ましてや油彩画などは物凄く高価だけど きちんと管理していれば退色もし辛いから世代を超えて所有し続ける人も多いよね

 

 

それでも絵を鑑賞する側の立場からすると プライスカードって正直 目障りなのかもしれない

あからさまな数字が いやらしく感じる場合もあると思う

でも「絵」で生きて行こうとしている多くの画家さん そして今後画家を志している人達の立場からすれば

目の前に展示してあるその1枚1枚が その手や心から丹念に紡ぎ出された大切な作品であり商品であるわけで 洋服で言えば「オートクチュール(特注の仕立服)」のような価値を持つものだと思うんだ

 

厳密に言えば「オーダー絵画」がオートクチュールなんだけど 個展作品も唯一無二という点においては同じ位の…というかそれ以上の価値があるかと思う

それ以上っていうのは オーダーの場合はクライアントさんの意向が入るから 作者そのものの自由な個性が多少制限される

でも個展作品は あくまでもその画家から生まれる純粋な表現ということから 僕は価値が高いと感じるんだ

 

 

手作り家具も 陶芸家さんが焼く器も 一針一針和裁士さんが縫い上げた着物も プライスカードって当然のように付いてるよね

そしてそれを感じ悪いとかいやらしいって言う人って 僕は聞いたことが無い

 

でもなぜか「絵」の場合は嫌がられる場合も多くて そのせいでたとえ価格を提示したとしても 遠慮して信じられないほど安価な価格を付けてる人もいる

その絵を描くことで生じたエネルギーやかかった時間を無視したような しかも必需品じゃないからめったに売れないその1枚の価格がそれでは とても生きて行く糧にはならないような価格で…

 

そんな事ではこれから先 芸術を手掛けていこうとしている人達は皆 趣味としてしか成り立たない世の中になっちゃう

これからもっと多様性の世の中になっていくのに そんなんじゃ夢も希望も無いよね

 

画家やそれを志している人達にとっては 個展会場は期間限定の店舗でもあるんだ

まだまだ駆け出しで中途半端で 崖っぷちの僕にとっても 時間と情熱を注いだ1枚の絵が売れるか売れないかというのは死活問題だし 夢半ばで終わるか終わらないか

それが1枚の絵にかかっていたりするんだ

 

だから僕は自分自身の為にも これから志していく人達の為にも 自分が心を込めて生み出した作品に 堂々と価格提示をしていこうって決めた

敢えて目立たないように 価格表を別紙で準備する方法もあるけど 僕は正々堂々といこうと思う

 

絵に添えられたプライスカード

それを不快に感じる人がいたとしても 仕方ないと思ってる

絵の個展では 上記の理由で価格提示をする人が少ないから そのシチュエーションに慣れていないこともあって それを目にした瞬間は違和感満載かもしれないもんね…

それは 当事者の僕だって同じなんだから仕方ない

 

だけどね 綺麗ごとに聞こえるかもしれないけど 売る事よりもまず観て頂く事が大前提なのは 僕の中で今までとこれっぽっちも変わらない想いでもあるんだ

無名の僕のような画家は まだまだとにかくたくさんの人に作品を観てもらって 知ってもらう事が他の何よりも大切なんだ

観て頂いた上で 「僕の描く絵」と「僕という人」をよく知ってもらう事がとても大切であって そのずっとずっと先に「この人の絵を傍に置いておきたい」と奇跡のような感覚を覚えてくれた人が現れた瞬間 初めてプライスカードが役目を果たす…というわけで…

だから まずはプライスカードがある事なんて気にしないで 本当に純粋に楽しむつもりで僕の絵を観に来て欲しいんだ

凄く楽しいはずだよ

僕の絵って なんだかわからないけど絶対面白いから

そして ふわっと笑顔になれる絵も 優しい気持ちになれる絵もたくさんあるよ^^

 

 

2019年5月の個展から 今までは存在しなかったプライスカードがそこに添えられたという事

それは僕が本気でこの道を歩き始めているという事

 

僕の絵に対する「本気と情熱の証」と受け取って頂けたら とても有難いです🍀

 

=地球に 人に 優しいアートを=

僕らを育んでくれるこの星とあらゆる命への敬意、

そして魂の居場所である肉体に感謝を込めて…

       早川 希