「恥」を知る

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今までの人生で、それなりに後悔してる事っていくつかある。

でも正確に言えば、後悔というよりは、あの時はああするしかなかったかもなぁ…って、諦めに近いような気持ちかな。

だからそのほとんどは、だんだんと忘れていってしまうような出来事。

 

でもただ一つだけ、決して忘れる事が出来ない「後悔」がある。

いや、忘れちゃならない「後悔」だ。

あれは確か小5の冬。

相変わらず家も学校も、心休まらない場所で、

だけどこのころにはどこか開き直ったような、捻くれた子供になっていて、

「類は友を呼ぶ」的な、やっぱりどこか捻くれた子達と行動を共にするようにもなっていたんだ。

 

そんなある日、休み時間の校庭でリーダー格の子が、別のクラスの体の弱そうなおとなしい子をからかいはじめたんだ。

言葉の暴力、酷い言葉を吐いて…からかいじゃなく、いじめだよね。

そそのかされて他の子も加わり、そして僕も加わり…。

 

そうしているうちに、いじめられているその子が、僕の目を見て言ったんだ。

「やめてよ…やめてよ」って。

とても小さな声だったけど、僕はビクッとした。

 

その瞬間、物凄い後悔と情けなさ、自分に対する怒り…言いようの無いほど嫌な気持ちになったんだ。

そして僕は、その場からそっと逃げ出した。

「やめてよ…」って小さな声で必死に言っていた悲しそうな顔。

何故、僕の目を見てその言葉を言ったんだろう。

きっと、どことなく弱々しい影を引きずっている僕なら、分かってくれると思ったのかも知れない。

だから、僕に必死に助けを求めたのかも知れない。

 

その少し前までは、僕がずっといじめの対象だったんだ。

だけどあの時、その対象が自分じゃないって事に妙な安心感というか、喜びすら感じていた気がして…。

 

僕はそんな自分が恐ろしくなったんだ。

吐き気がするほど自分の心が、自分の行動が許せなかった。

 

いったいいつからこんなに卑怯で恥ずかしい、最低の人間になってしまったんだろう。

あんなに自分がされて嫌だった事を何で他の子にやれるんだよって。

でも僕は、結局みんなを止めることも出来ずにその場を逃げ出す弱い人間だった。

 

あの子はあんなに小さな声でも「やめてよ…」ってはっきりと言ってた。

僕は、自分がやられてる時は、その言葉さえ怖くて口に出せない事が多かったよな…。

僕は誰よりも弱くて卑怯だな…。

 

小5の冬の日。

僕は「恥」というものを嫌と言うほど知らされる日となった。

この出来事は、あの子の心に、一生残る深い傷となっいるだろう。

そして僕にも、「絶対に消えない後悔」と、「忘れてはならない恥ずかしい経験」として、

生涯心の中で生き続ける記憶となっている。

 

ただ、まだ子供だったあの頃に「恥」というものに気付かせてもらった事。

僕はその事に大きく感謝している。🍀

イベント情報

希 noZomi 第4回個展
「陽の当たる場所を探して」は
無事終了いたしました。
ありがとうございました。

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