カドは残したままでいようか…。
僕が凄く尖っていた頃の話。
18の頃にね、ビルの警備員と揉めて、某有名ハンバーガー店のアルバイトをクビになった。
僕が唯一、仕事でクビになった経験。
いつもは、夕方からのバイトだったんだけど、
僕ともう一人の女の子が、その日だけオープン時間から来て欲しいと頼まれたの。
朝は苦手だけど、快く引き受けて、当日早朝から2人で店があるビルに入ろうとしたら、
警備員のおじさんに「通行証が無いと入れるわけにはいかない」っていわれたんだ。
僕たちは、朝の時間には通行証が必要なんて事、聞いてもいなかったし、そもそも貰ってない。
事情を話して、中にいるお店の人を呼んで欲しいと言ったんだけど聞いてくれない。
それで、女の子が「私が呼んでくる」と言って、中に入ろうとしたのね。
そうしたら、警備のおじさんが、いきなり女の子を突き飛ばしたんだ。
彼女はよろめいて転びそうになった。
それを見て僕はカッときて、おじさんを 今で言う「壁ドン」したの。
女の子を突き飛ばした事を謝罪させようとしたんだよね。
もちろん言葉だけで、僕はいっさい手は出してないよ。
おじさんが何もしなくなったから、僕らはそのまま店に行って仕事してたんだけど、
しばらくしたら呼び出されて、警備会社の事務所に連れて行かれたんだ。
そうしたら、凄く身体のデカい警備会社のお偉いさん数人に囲まれて、逆に謝罪をしろって脅された。
なんと、店側も通行証の不手際は認めないし、警備のおじさんは、その場にはいなかったけど、
自分が暴力を振るわれたという話になってるらしい…。
おじさんは、今回の事で、「警備の仕事は、もう怖くて出来ないから、会社を辞めたい。」と言って帰宅したって…。
僕らの話は誰も信じてくれない。
大人の世界っていやだなぁとつくづく感じたよ。
店長達は、「頼むから謝ってくれ」とか、仕舞には「謝れ!!」とか叫んでるし…。
見てるこっちが情けなくなる大人の姿。
女の子は怖かったのか、ずっと泣いてたけど、僕は何を言われても、最後まで屈しなかった。
それで結局バイトはクビ。
自分を曲げなかった事に関しては今も後悔してないけど、僕のせいで一緒にいた女の子もクビにされちゃったのが、不本意だったよ。
これにはまだ続きがあって・・・
その女の子がね、言ったの
「あのおじさん、本当に辞めちゃうのかなぁ。あの人はあの人で、一生懸命仕事してたんだよね。
たまたまこんな事になっちゃって、よっぽどショックだったんだろうね。」
凄い優しい子なんだよね、おじさんの心配なんかして。
そう言われると僕も何だかおじさんの事が急に可哀そうになってきちゃった。
確かに僕が壁ドンした時、おじさんはもう、何も言わずに固まってた。
年配の人だったから、あの時の僕の剣幕が本当に怖かったのかも知れないし…。
僕だって最初からこんな結果を望んでた訳じゃない。
おじさんに仕事辞めないように伝えてこようって、このままじゃいけないよねって、
二人でもう一度警備会社の事務所を訪ねた。
「なんだお前ら!」ってまた凄まれたけど、僕らの気持ちだけ伝えて下さいと、今度は二人で頭を下げてきた。
僕の尖ってた部分と柔らかな部分、両方を感じる懐かしいエピソード。
家が殺伐とした雰囲気だったから、せめてそれ以外の場所では、穏やかに過ごしたかったんだけどね。
当時は僕、尖ったカドだらけだったから、そんな出来事も呼び寄せちゃったりしたのかな。
時々似たような事に出くわしてたよ。
本当は陽だまりのような時間を求めてたのにね…
近頃は、さすがにそんなトラブルは起こさない。
でも、人の本質ってそんなに変わるものじゃないよね。
心の中で置いてけぼりになってる「陽だまり」を求める部分。
そして、片足で立っているみたいにフラフラしていて折れそうな心、それを隠すように尖っている部分。
そういうのがきっと、僕の作品に出てるのかもしれないな。
「陽だまり」は絵本に、そして尖ったカドは現代アートで…。
今ではそんな風にして、心のバランスをとっているのかもしれないね。
そう考えると、他人に迷惑にならない程度のカドは、まだまだ残したままにしておこうかな。
僕の創作の原点はもしかしたら、鋭利に尖ったカドから来てるのかもしれないから…。🍀
=スターシードが創り描く☆地球に人に優しいアート= noZomi hayakawa(陽日希)2024秋の個展『自灯明』
地球に人に優しいアート
noZomi hayakawa(陽日希)
2024.秋の個展
『自灯明』
2024/11.25(月)-12.01(日)
11:00ー19:00
(最終日は17:00閉館)
ギャラリー元町
・・・
誰もが心の奥に持つ、内なる光。
それは自身の信念や志、願い、そして大切な想い...
誰かが照らしてくれる灯火を頼りに生きても、
果たしてそれが、自分の人生なのだろうか。
たとえ、今は小さな灯りだとしても、
僕は、内なる光である自分自身を拠り所として生きていく。
noZomi hayakawa(陽日希)