「メリーゴーラウンド」

この地球の夕暮れが、とても美しいということ。

それを僕に強く印象付けたのは、きっとあの時のあの場所だったんだろう。

今でも目をつぶると、あの夏の終わりの夕暮れ、僅かな冷気を含んだ少し寂しげな風が…。

僕の身体はちゃんと覚えているみたいだ。

音もなく僕の皮膚の上を通り過ぎて行く感覚が、まるで今起きていることのように蘇ってくるんだ。🍀

 

 

(2019年個展「solitaire…ひとり遊び」展示作品)

「メリーゴーラウンド」

 

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そこには 少し寂しげな夢の世界があった…

 

 

陽が落ちて 夕闇が徐々に辺りの風景を包み込んでいく

 

深い青の世界が広がっていく時間は とても神秘的で

まだ小さな僕でも 目に映るものに浪漫が溢れていること

そしてどこか寂しげな空気があることに気付いていたんだ

 

あれは夏の終わりの夕暮れ

吹いてきた風は 少し前とは違う顔をしていた

 

さっきまであったはずの熱気は 嘘のように消えている

 

あの日の夜の遊園地

 

 

なぜか人の姿もまばらで いつもと違う場所のよう…

まるで現実ではないような そんな感覚を今でも覚えている

 

ゴトゴトと音をたてて廻るメリーゴーラウンド

 

 

遠い記憶の中 夕闇にきらきらと光り輝くその姿は

僕を 寂しげで儚い夢の世界に連れていってくれた

 

 

幻のようなその光景を いつまでも見ていたかったな…

 

 

もしかしたら僕は あの日のあの場所で 小さな少年の姿のまま

まだあのメリーゴーラウンドを見つめ続けているのかもしれない

 

…noZomi

 

=地球に 人に 優しいアートを=

僕らを育んでくれるこの星とあらゆる命への敬意、

そして魂の居場所である肉体に感謝を込めて…

       早川 希