「会いたい…」5月の個展のタイトルです

5月17日から一週間の春の個展

そのタイトルは

「会いたい…」

きのう ふと心の中に湧き上がって来たひと言・・・

まだ作品は1枚も出来上がってないけど 僕 ここから集中していきますo(^^)O

「会いたい」には 人それぞれにいろんな「会いたい」があるよね

僕一人でも一つだけじゃなくて いくつもの「会いたい」が心の中にあるんだ

僕が小学校3年生の時 その年の夏休みにね 叔父と叔母に連れられて遠い親戚の家に いとこ達と泊りがけで行ったんだ

その旅に たしか僕の両親は同行してなかったと思う

そこはね ちょっと行った先にはたくさんの車が行き交う大通りがあったりするんだけど

到着した家は 茅葺屋根のとっても古い農家の家で 玄関がものすごく広くてね

土間っていうのかな 足元が土で 靴を脱ぐところに大きな石があったよ

中には囲炉裏とかもあって 庭には見た事もないほど太くて 雲に突き刺さってるんじゃないかって思うほど背の高い松の木が何本もあってね

僕には何もかもが驚きだったなぁ

でもね 知らない人が何人もいるその空間が 人見知りの激しい僕にはちょっと怖くって

何よりもトイレが廊下の一番奥の ものすごく離れた場所にあったりして

それほど時間が経たないうちに 早く帰りたいなぁって思ってた

真っ先に案内されたのは仏壇のある部屋でね

手を合わせるようにって言われて まだ幼かった僕はお兄ちゃんやいとこ達の後に続いて一番最後に見よう見まねで 訳も分からずに手を合わせたんだ

僕がそうしてる間に みんなはとっくに部屋から出て行っちゃって僕一人になってた

仏壇のところにある数枚の写真は どれもお年寄りの写真だったんだけど その中にたった1枚だけ軍服姿のとても若い男の人の写真があったの

小さな僕にも それが本当にまだ若い人なんだっていうのがよくわかった

10代後半か 二十歳を少し過ぎたくらいだったのか…

大学生くらいの感じ

その頃の僕はね 人ってみんな 年を取ってから亡くなるものだと思ってたの 何となくね

だからその時初めて 若い人が亡くなったんだっていうのを知って とっても衝撃を受けたの

だからその時の事をよく覚えてる

僕はその写真をしばらくじっと見つめていたっけ…

今思えば その家族の歴史の中には 僕なんかが想像もつかない程の深い深い「会いたい」があったんだよね

そして その旅の中には 僕の忘れられない「会いたい」があるんだ

その家から歩いて5分くらいのところの坂の途中にね 小さな駄菓子屋さんがあったの

そこで店番をしてたお姉さん

綺麗な葡萄色のTシャツを着てたから いとこが「葡萄のお姉ちゃん」っていう名前をつけたんだ

優しい笑顔のそのお姉さんに 社交的ないとこ達はすぐに懐いていろいろ話しかけてたっけ…

僕はいつものように みんなの後ろでポツンとしてたの

お姉さんがみんなに「何年生?」って聞いてて そんな時って僕はたいてい話の輪に入れないまま終わるのね

でもその時は 違ったんだ

葡萄のお姉さんは ポツンとたたずんでいた僕にも

「きみは何年生?」って聞いてくれたの

「3年生」って答えたんだけど 僕が同学年の子達に比べるととっても小さかったからかな

それと 話しかけてもらえた僕が きっととっても嬉しそうな 顔をしてたんだろうね

「3年生なんだ! かわいい!!」っ言ってくれたんだ

そして「こっちにおいで」って傍においてくれたんだよ

僕の事を「かわいい」なんていってくれる人は初めてだったし 傍にいる間 皆と話をしながらもずっと肩に手を置いてくれたり 頭を撫でてくれたりしながら僕にも何度も話しかけてくれたのが本当に嬉しかった

初対面の人とは 全く話せない僕だったのに その時だけは自然にお姉さんに甘えて いろんな話をしたんだよ

葡萄のお姉さんは 当時きっと中学生か高校生くらいだったんだろうけど 僕にはそのお姉さんが 初めて出会う優しい大人に思えた

駄菓子屋さんだから 小さい子の扱いに慣れてただけなのかもしれない

でもね 僕にはその優しさや笑顔に それまで味わったことのない大きな安心感みたいなものを感じたの

その次の日のお昼には もう帰らなきゃいけなかったから

僕たちは最後にもう一度 お姉さんに会いに行ったの

「また来てね」って手を振ってくれたお姉さん

その場に居た子供達の中で 僕をいちばんかわいがってくれた葡萄のお姉さん

そのお姉さんに会ってから僕は

最初はあんなに「早く家に帰りたい」って思ってたその場所だったのに 最後はずっとここにいたいって思うようになってたんだよね

でも お姉さんの本当の名前もしらないまま あれから一度も再会することもなく…

幸せに暮らしてるかな…

きっと優しいお母さんになったんだろうな

僕が子供の頃 たった一度だけ大人に甘えることができた時間

小学校3年生の夏 そんな贈り物をくれた葡萄のお姉さんに

僕はもう一度だけでも会いたい

あの時僕が どれほど嬉しかったか どれほど優しい時間を過ごすことができたのか

もう一度会って 伝える事ができたらいいのに…

そんな「会いたい」やもっといろいろの「会いたい」が僕の心の中にずっと住んでる

5月のギャラリーでは どんな作品が並ぶのか

僕もとても楽しみにしてるんだ(*^^*)🍀