「春 眠」

眠っている時に見る夢…。

ぼんやりとしていてよく覚えてなかったり、その時の感触だけを妙に生々しく覚えていたり。

時には悪夢だったりもする。

僕はよく寝言を言うらしい。

たいていは、何かに対して怒ってるんだって。

そして苦しそうにうなされることもよくあるみたい。

でも、そんな時に見てるはずの夢って、何故か全然覚えて無い。

ぼんやりとだけど覚えてる夢はね、

もう会えないと思っていた人にやっと会うことが出来たとか、

叶わないと思っていたことが実現したとか…。

「あ~嬉しいなぁ、本当に良かった~…」

って、涙を流さんばかりに感激してると、す~っと目が覚めて夢だったって気付くの。

その瞬間は、心底がっかりする。

その夢がまるで現実みたいに、触れた手の感触や声、そんなものが不思議なくらい生々しかったりするから…。

暫くの間は夢だったっていうことを認められなくてね。

寝ている時に見る夢って、人間にとってはいったいどういう存在なんだろうね。

全て自分の頭の中、心の中で創り出してるストーリー。

それなのに、そこで怒りをぶつけたり一喜一憂してる僕って、なんて滑稽なんだろう…。🍀

2019年個展「solitaire…ひとり遊び」展示作品

「春 眠」

確かに感じた 柔らかな感触

目が覚めたこの瞬間も 生々しいほどに残る感触

ついさっきまでそこに 僕が居た世界があった

だけど どうしてもはっきりと思い出すことが出来ないんだ

わかっているのは

その世界がとても暖かかったこと

涙が出るほどの安心感に包まれていたこと

そして

誰かが優しく 心地良く触れていてくれたこと

それも 今の今まで…

肌に残るその感触に想いを馳せても

跡形もなく消えてしまった世界には

もう 戻ることが出来なくて

僕は今日もまた

ひとり遊びの時間に堕ちて行く…

…noZomi

=地球に 人に 優しいアートを=

僕らを育んでくれるこの星とあらゆる命への敬意、

そして魂の居場所である肉体に感謝を込めて…

       早川 希